研究員ブログ 荒田英知 blogtop
2012年1月27日 13:00


 2012年1月16日掲載の弊社「時事コラム」に「大阪都の成否を占う大阪市の区長公募」と題して寄稿しました。応募締め切りの1月11日時点での応募者は711人と報じられていましたが、当日消印有効とされていたため、その後確定した応募者数はなんと1460人にも達したのです。


 区長公募は、2011年12月19日に大阪市長に就任した橋下徹氏が真っ先に打ち出した施策でした。政令指定都市である大阪市には24の区がありますが、東京都の特別区とは異なり、単なる市役所の出先という位置づけです。橋下市長は大阪都への再編を睨んで区長の権限を強化し、将来の区長公選への布石とするために公募に踏み切ったのです。


 募集要項では、区長の給与は外部からの応募の場合は年収1400万円、職員の場合には年収1200万円と示されました。一見、給与の高さが多くの応募者を集めた理由のように思われますが、じつは応募にはかなり高いハードルが設定されていました。


 それは提出書類の一つに義務づけられた「論文」です。論文作成要綱には「現在の区政の課題とその解決策」と「その実現に向けた区長マニフェスト」が課題とされています。そして、「応募する区が抱える課題を分析し、区長として、その課題をどのように解決していくのかについて、財源の裏付けも行った上で論じてください」としたうえで、「述べた方策を具体化するための区長マニフェストを、住民サービス編と改革編に分けて作成してください」とあります。


 私のみるところ、この要求を満たす水準の論文は数日程度のにわか勉強で書けるとは思えません。応募者の約半数が締め切り間際に提出したのも頷けます。締め切り数日前までは応募者が伸びず、ハードルが高すぎたかと危惧する声もあったようですが、それだけに1460人という応募者数は驚異的というほかないでしょう。


 これから選考が進められますが、予想以上に時間を要することになり、4月の就任予定は8月にずれ込む見通しとのことです。はたして論文の出来はどうでしょうか。先の論文要綱では「提出された論文は公開を前提」としていますから、公開された暁には私もぜひ読んでみたいと思っています。落選した応募者の論文の中にも、区政や市政に生かせる提案がたくさん含まれているものと想像できます。最適任な区長を選考するのと同時に、これらの知恵を活用していくことにも期待したいと思います。