研究員コラム 荒田英知 blogtop
2012年5月15日 13:00


 2012年5月11日付けの北海道新聞「現代かわら版」に「道庁は札幌になくてもいい」と題して、弊社が2011年2月に提言した「北海道経営ビジョン」の提言内容をもとに、私のインタビュー記事が掲載されました。同ビジョンでは21項目の政策を提言していますが、そのうち「北海道を道州制の先行モデルとする」「札幌市に新たな大都市制度を適用する」の2つに着目したものでした。


 紙面は丸1ページを割いており、「道都といえば札幌。言わずと知れた道庁や道議会の所在地だ。だが、民間シンクタンクのPHP総研(東京)は昨年2月、政策提言『北海道経営ビジョン』で、道州制導入を見据え、札幌市の権限強化と道庁(州都)の市外移転に言及した。主席研究員の荒田英知さん(49)は『道と札幌の役割分担や将来像を考えるきっかけになれば』と狙いを明かす」というリードで始まり、北海道と札幌市の今後の関係について「道州制を見据え役割分担議論を」と結んでいます。


 記事の問題意識を端的に表現しているのが「道庁は札幌になくてもいい」というタイトルです。政令指定都市である札幌市は、一部を除いて道府県並みの事務を担当しています。これを徹底するなら、札幌市域の道民税は札幌市に納めればいいし、札幌市から道議会議員を選出する理由もなくなります。その延長線上に、北海道庁をその事務権限の属しない札幌市に置くのはおかしいという話が出てくるのです。


 全国的に見ても、都道府県と政令指定都市の関係は大きな曲がり角に来ています。大阪都構想のように府と市の統合を図る動きが進む一方で、その他の政令市は県から独立する「特別自治市」を検討しています。横浜市などは、道州からも独立する都市州を視野に入れていますが、あくまで道州の一員を指向する政令市もあり、特別自治市の具体像はいくつかの類型に分かれていくのではないかと考えられます。


 そうした中で、道州制特区で先行してきた北海道では、道と政令市のあり方についての議論が他地域ほどは活発化していません。これは道州制特区が停滞しているという事情に加えて、道知事と札幌市長の政治的立場が異なることも影響しているものと思われます。私がインタビューで強調したかったことは、今後、大都市制度の改正が加速する中で、関係者が議論のテーブルに着くことの重要性です。


 提言では、「札幌市が北海道から独立、道庁は市外に移転」というシナリオを示す一方で、「札幌市の集積を北海道全体で活用する」という現実路線も選択肢としています。どちらが北海道の将来にふさわしいか、今回の記事をきっかけに関係者間の議論が進むことを期待しています。