研究員コラム 金子将史
2014年4月 8日 14:00

 歴史認識や領土問題にまつわる中国、韓国の宣伝攻勢を受けて、わが国でも対外発信強化の必要が叫ばれるようになっているのは自然な流れである。ただし、意味あるかたちで対外発信を強化するには、我が国や他国が実際いかなる活動を行っているのか、また望む効果を得るにはどのような活動が適当なのか、実態に即した議論が必要である。


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2014年2月19日 15:54

 2013年12月17日、日本政府は史上初めてとなる国家安全保障戦略(以下NSS)を閣議決定した。NSSの基本的理念として提示されたのが「国際協調主義に基づく積極的平和主義」である。


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2013年9月10日 10:10

 2020年夏季五輪が東京で開催されることになり、日本中が喜びに沸いている。筆者は8月末に官邸がかなり自信を持っているときいていたが、その後原発汚染水問題がにわかに浮上し、先週筆者が訪問していた英国でも、東京が落選するとすればこの問題のためだろうとの声があった。同地で耳にした、選考委員にはスポーツ界の代表がかなり入っており、彼らは選手の健康に非常に神経質なので汚染水問題の影響は大きい、という分析はなかなか説得的だった。こうした懸念があるなか、安倍首相がスピーチで真正面から汚染水問題をとりあげ、質疑においても落ち着いて対応したことは、五輪招致を獲得するためのコミュニケーション戦略として正解だった。


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2013年7月23日 17:16

 参議院選挙で与党が大勝し、衆参のねじれ状態が解消することになった。与党が圧倒的多数を占める衆議院の残り任期は3年以上もあり、よほどのことがないかぎりしばらくは国政選挙がない状況になる。安倍首相の自民党総裁としての任期が切れる2年後が次の山場になるだろうが、ともあれ第一次安倍政権以降続いてきた政権の極端な短命化にようやく歯止めがかかることになりそうである。


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2013年6月27日 14:06


 ある国が自国をどのような地域の中に位置づけるかは、すぐれて政治的な行為である。そして、それがどの程度自然なものと感じられるかは、歴史的経緯はもちろん、関係国の友敵関係やパワーバランスの変化などによって大きく影響を受ける。日本の外交政策サークルにおいては、80年代は「環太平洋」、90年代には「アジア太平洋」という地域概念が流布しており、21世紀に入ってからは「東アジア」という地域概念も力を得た。しかし、東アジア共同体という言葉を振りかざした鳩山政権の外交・安全保障政策が失敗に終わり、また中国に対する警戒感が強まったため、東アジアという地域概念の魅力は今日やや色あせたようにみえる。反比例するように勢いを取り戻したのは、TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)に代表されるように、米国を含む地域概念である太平洋、環太平洋である。といっても東アジア志向が全く失われたというわけでもなく、当面太平洋と東アジアという地域概念が緊張をはらみながら共存することになるのだろう。


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2013年4月24日 14:15

 先般、広島県の委託により日本国際問題研究所の軍縮・不拡散研究センターがまとめた『ひろしまレポート』が発表された。各国の核軍縮・核不拡散・核セキュリティに対する具体的な取り組みを分析するとともに、点をつける形でパフォーマンスを評価するものであり、黒澤満・大阪女学院大学教授や秋山信将・一橋大学教授など斯界の第一人者がプロジェクトに名を連ねている。


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2013年3月29日 16:00

 他国が侵略してきたときにそれを撃退する能力を備える事は国防政策の基本といえるが、実際に武力衝突が発生したときのコストは甚大である。したがって、そもそも侵略させないようにすることが肝心になる。現代の国防政策において抑止が中核的な位置を占めるのはそのためである。抑止とは「相手国を攻撃する費用と危険が、期待する効果を上回ると敵対者に思わせることで、自分の利益に反するあらゆる行動を敵対者に取らせないようにする努力(猪口孝他編『国際政治事典』(弘文堂、2005年))」のことをいう。


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2013年2月19日 16:30

 去る1月30日に逝去された加藤寛先生が、官僚制の肥大化に警鐘を鳴らし続け、土光臨調の主力メンバーとして国鉄や電電公社の民営化を主導したことは周知の通りである。小泉首相が政治生命をかけた郵政民営化の着想を得たのが加藤先生からであることもよく知られている。加藤先生の官僚制批判の原点には、統制主義によって活力を失ったソ連経済についての徹底した実証研究があった。


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2013年1月29日 18:33

 アルジェリアにおける邦人拘束事件の陰に隠れた観もあるが、2013年1月16日から18日、安倍首相は再登板後初の外遊先としてベトナム、タイ、インドネシアを歴訪し、最後の訪問国インドネシアでの首脳会談後以下の「対ASEAN外交5原則」を発表した。


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2012年12月25日 15:00

 2012年の世界は、中国での指導者交代、米国やロシアでの大統領選挙、尖閣諸島をはじめ東シナ海や南シナ海における中国の現状変更的な動き、竹島訪問など韓国・李明博政権の対日姿勢の硬化、シリア内戦の激化など、様々な出来事に彩られた。年の瀬にも、北朝鮮のミサイル発射実験、韓国大統領選挙での朴槿恵氏の勝利、新憲法制定をめぐるエジプト政治の混乱、イタリアのモンティ首相の辞任、財政の崖をめぐる米国政治での攻防など、日本の総選挙での自民党圧勝と安倍氏の総理再登板を含め、今後に影響を及ぼしそうなニュースが飛び込んできた。


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