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第37回「電子黒板を導入する必要はあるのか」
政策総合研究部主任研究員 亀田 徹
 小中学校に電子黒板を導入しようとする動きがあります。
 学校のICT化(地上デジタルテレビやパソコン等の整備)、耐震化、エコ化(太陽光パネルの設置)を進める「スクール・ニューディール構想」を文科省が打ち出しました。同構想におけるICT化の一環として1台約70万円の電子黒板を全小中学校に設置、購入経費の半額を補助するための補正予算額は57億円、と報道されています。
 電子黒板を全小中学校に導入することを誰が望んでいるのでしょうか。

 子どもや保護者が望むことは、しっかりとした授業を受けたい、落ち着いた学校生活を送りたいということです。そのためにまず必要なことは、教員の人数や質といった指導体制の確保です。指導体制が十分に確保されていないにもかかわらず、電子黒板に多額の税金を支出する。それで果たして国民の理解が得られるでしょうか。電子黒板より指導体制を優先すべきことは誰が考えても明らかです。
 指導体制の確保が必要であるとしても、補正予算は緊急性の高い施策に充てるものであり、教員の人件費は補正にはなじまないといわれます。ただし、今回の補正には、一時的な基金を設けて人件費を支出する緊急雇用創出事業の拡充が盛り込まれています。この事業を活用し、特別な支援を要する生徒に対する支援員を配置する自治体もあります。たとえ一時な経費であっても、57億円は支援員の配置など子どもへの指導体制の充実に使うべきだと考えます。子どもや保護者だけでなく教員の側も、電子黒板よりは指導体制の充実を望んでいるはずです。

 子ども、保護者、教員という当事者の誰も望んでいない施策に多額の税金が支出されようとしています。これこそ、政治や行政が学校現場の状況を考えていないことの表れだと思います。

 補正の目的である経済対策という視点から見た場合、ICT分野に予算を投入し、ICT化や産業支援を推進すべきだという考えもあるでしょう。
 その考えに立ってみても、電子黒板の導入に税金を支出することには大いに疑問があります。新しいものは予算がつきやすいといわれますが、単に目新しければいいというものではありません。小中学校では、すでに導入されているパソコンを使いさえすれば、相当程度のICT教育ができるはずです。ICT化の観点からも、電子黒板以上に効果的かつ優先度の高い施策はいくらでも考えられるのではないでしょうか。

 国立メディア芸術総合センターが国営マンガ喫茶と揶揄されるように、必要性を明確に説明できない予算は国民の不信を招きます。
 電子黒板の導入も、目的や必要性について国民にきちんと説明されていません。その目的や必要性を明らかにするとともに、仮に57億円もの税金を支出して目的が達成されなかった場合の責任は誰がとるのか、責任の所在も明らかにすべきです。


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