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PHP地域経営塾 オープンプログラム
PHP エコスクエア
「太陽熱エネルギーを活用したまちづくり」(第5回開催概要)
地域から日本を元気にする――それが、『PHPエコスクエア(ECO2)』が掲げるビジョンです。同時に、そのビジョンを実現するため、エコスクエアでは、中小企業の優れた技術が私たちの生活にもたらす恩恵を具体的なレベルで理解しながら、それを地域・自治体において具現する方策を検討し、さらにその事業化を支援していきます。
これら一連の活動の最大の使命は「新結合」です。これは、“これから新たな技術を開発する”のではなく、“今、既にある優れた技術同士を結びつける”こと、あるいは、“企業や地域の多様なニーズとシーズをつなぐ”ことを意味します。それによって、企業価値の増大も、自治体経営の改善もよりスピーディーに、より効果的に達成することが可能になります。それがまた、平成23年3月に発生した東日本大震災の被災地復興の一助ともなり、日本全体をも元気にしていくと考えます。
新結合の主役は、地域に根ざす中小企業と自治体です。そこで、エコスクエアでは、「新結合」を具現すべく企業や自治体にそれぞれのシーズやニーズを紹介いただき情報交流する場を設けてまいります。ここで紹介される事例は多種多様です。それらの新結合は、さまざまな技術・企業・地域との連携と、それによる活性化の可能性を広げるでしょう。今後も、注目すべき中小企業、技術等が続々と登場してきますので、交流・連携・共創への機会として活用いただければ幸いです。
※エコスクエアが紹介した環境技術ソリューションは下記、「別表」をご覧下さい。
<別表 エコスクエアが紹介した環境技術ソリューション>

【参加者の属性】
民間企業経営者、自治体の職員・議員、各種団体職員など
■第5回エコスクエア開催概要 ※全文はこちらからダウンロードできます
【日 時】
2011年11月24日(木)14:00〜16:20(参加者数:約30名)
【プログラム】
14:00〜14:05
1.主催者挨拶:荒田英知(株式会社PHP研究所 地域経営研究センター長)
14:05〜16:00
2.講演&ディスカッション
テーマ「太陽熱エネルギーを活用したまちづくり」
14:05〜14:45
トーク1:「CO220%削減を実現するまちづくりへの挑戦」
講師:斎藤博丈氏 (独立行政法人都市再生機構 首都圏ニュータウン本部
埼玉東部開発事務所 事業課 課長)
14:50〜15:30
トーク2:「F式集光型太陽熱装置による復興支援とまちづくり」
講師:福寿喜寿郎氏 (公募プレゼンター・太陽熱技術者)
15:30〜16:00
ディスカッション
コーディネータ:佐々木 陽一(株式会社PHP研究所主任研究員)
16:00〜16:20
3.クロージング
「エコスクエアで生まれた新結合の進捗状況と展望」(株)みずほ銀行
【開催報告】
2.講演&ディスカッション (14:05〜16:00)「太陽熱エネルギーを活用したまちづくり」
トーク〔1〕/14:05〜14:45 br>
テーマ:「CO2 20%削減を実現するまちづくりへの挑戦」 br>
講師:斎藤博丈氏 (独立行政法人都市再生機構 首都圏ニュータウン本部
埼玉東部開発事務所 事業課 課長)

1969年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科建設工学(土木)専攻修了、1994年住宅・都市整備公団(現 独立行政法人都市再生機構)入社。以降、ニュータウン開発計画に従事し、1998年多摩ニュータウン事業本部、2000年〜2002年建設省(現 国土交通省) に出向、2006年本社ニュータウン業務部。2011年7月から現職。保有資格: 技術士(建設部門)、一級建築士、一級土木施工管理技士。 br>
●越谷レイクタウンにおける環境技術を結集したまちづくり
越谷レイクタウンは都心まで20km、時間にして45分位に位置しています。地区の周辺は中川など3つの河川に囲まれていますので、過去に水害が多く発生しました。そこで、治水対策がまず優先的に考えられました。具体的には、昭和63年に建設省河川局の新たな事業として河川の水を貯める調整池の整備から事業が始まったのです。
そのような経緯から地域の整備が始まりましたが、越谷レイクタウンの全体コンセプトは、良質な居住環境整備と総合的な治水対策を一体に実現しようというものです。 広大な水面の利用や水際を活用したライフスタイルの形成を狙い、実際に市民に開放して使ってもらうものです。1.大規模調整池による治水安全性の向上、2.広大な水面と水際を活用したライフスタイルの形成、3.駅を中心とした広域複合拠点の形成、4.健康・福祉拠点の形成、という4つの柱でまちづくりが始まりました。平成11年12月に事業計画が認可され、平成20年3月に越谷レイクタウン駅が開業、まち開きされました。
全体の土地利用は以下の図の通りです。駅から1km内で街として完結するものとなっています。商業施設、集合住宅、一般の戸建住宅などがあり、面積は225.6ha、人口は7千人程になっています。
●調整池の整備活用とまちづくり
越谷レイクタウンのまちづくりは、まず調整池があってのものです。通常時は穏やかな水面が広がり、カヌーなどで市民に利用されています。通常は調整池にそのような機能はありませんが、桟橋や親水テラス、公園や水上コテージなどを整備し、広大な水面と水際を活用したライフスタイルの形成を目指しています。
また、水際の植生の保護強化も行なっているのが特徴です。生態系の活用と保護の観点から、自然を極力残すエリアも一体的に整備しています。現在では小学生の環境学習の場としても使って頂いています。自然環境をどう活用していくかがスタート地点で、環境を整備し、そして再生エネルギーの活用という段階を踏んでいます。
●環境共生のまちづくりと再生可能エネルギーの活用
都市再生機構の地球温暖化対策の考え方を説明いたします。住環境、都市再生、郊外の3つのフィールドでの取組みを行なっていますが、関与の度合いにより3つの領域に区分できます。「第1領域」は、URのオフィスなどから直接CO2を排出するものです。「第2領域」はURが提供する商品(住宅の専用部分、事業者に譲渡した土地や施設等)を工夫することによって、商品を利用する人がCO2を削減できる領域です。「第3領域」は居住者や事業者に呼びかけることでCO2削減に取組む領域です。この「第2領域」も削減計画の対象としているのがURの温暖化対策の特徴といえます。越谷レイクタウンでは、この第2領域について積極的に取り組んでいます。
賃貸住宅をどのようなものにするのか、環境に負荷をかけない街区計画を立てたり、民間事業者の環境配慮を誘導したりすることが主要なポイントになります。具体的には、環境配慮を義務付けて土地を譲渡しています。
レイクタウンの駅前広場では、清掃工場から発生した焼却スラグをリサイクルしたブロックを利用しています。また、自転車の専用レーンを整備し、自動車に頼らないまちづくりを目指しています。また、まちづくりの紹介・地域活動の拠点となるように整備した「水辺のまちづくり館」では、地中熱換気システムを採用しています。
調整池に隣接する大街区は、環境モデル街区として、住宅の次世代省エネ基準に適合し、省エネ施設導入により街区全体でCO220%以上削減を民間事業者に義務付けるなど、環境に配慮した取り組みを義務付けて土地を譲渡しています。
●民間事業者の取り組み
住宅の面では、大和ハウス工業さま、大栄不動産さまが21haに集合500戸、33haに戸建132戸を整備しましたが、環境省「街区まるごとCO220%削減事業」の認定補助金を受け、コストを下げながら建築することが出来ました。
集合住宅では、太陽パネルとガスボイラーを併用した住棟セントラルヒーティング設備を利用しています。各戸に取り付けたものよりも効率が良くなります。戸建住宅は、屋根と一体型の太陽光設備を導入し、省エネ対策等級4以上のものです。
その他、街区には地域の風を活かす工夫として、季節ごとに変化する風をシミュレーションし、北西の風を遮り南東の風を取り入れ暖めるなど、地域計画で冷暖房負荷を軽減しています。

大規模商業施設は(株)イオンさまが取り組まれました。国内商業施設最大の4千m2のソーラーパネルで、年間41万kwhの電力供給を行なっています。それ以上にCO2の削減に寄与しているのが、ハイブリッドガスエコシステムです。その他で象徴的なことは、商業施設として日本で初めて電気自動車の急速充電ステーションを設置したことです。
●世界に向けた情報発信
国連環境計画の「環境に配慮した住みよいまちづくり」に関する世界で唯一の国際的表彰制度、「LivCom Awards」があります。2004年から個々のプロジェクト単位に表彰していますが、評価項目は、環境に配慮した実践、コミュニティの持続可能性などで、レイクタウンの取り組みに上手く合致しました。
応募したところ、レイクタウンのプロジェクトが金賞をとることができました。金賞は日本初です。これで注目が高まって、レイクタウンの視察が増えました。また、地区のブランドを高めることができ、引いては住んでいただく付加価値を高めることも出来たのではないでしょうか。
トーク〔2〕/14:50〜15:30
テーマ:「F式集光型太陽熱装置による復興支援とまちづくり」
講師:福寿喜寿郎氏 (公募プレゼンター・太陽熱技術者)

元・JFEメカニカル(株) 特殊機器プロジェクト長。1946 年、兵庫県生まれ。1967 年、国立明石工業高等専門学校・機械工学科を卒業、ダイハツ工業(株) 入社。1972 年川崎電気工業(株) (JFEメカニカルの前身) 入社、製鉄機械の製造技術業務に従事。2006 年以降、三菱電機(株)、日工(株) 等の技術アドバイザー、NPO法人・技術者集団「ACT135明石」理事、技術者集団「テクノスカフェ」を主宰。技術者履歴は新設備の開発(水平連鋳、外法一定H型鋼) プロジェクト案件の大型コンポーネントの製作(ドーバー海峡トンネル、瀬戸大橋)学術研究用機器の製作(すばる望遠鏡、HIMAC、J−PARC、ALMA望遠鏡) 等。
●太陽熱ボイラーの原理
私が作った太陽熱ボイラーは、子供時代にどなたも手に取った事がある「虫眼鏡」がその原理です。光を集め、熱源とするのです。その点、太陽光発電パネルや蓄電池などハイテクなものと全然違い、ローテクなものです。
ただし、レンズではなく鏡を使っています。また、曲面は大変危険なため、平面鏡を使います。平面の鏡を沢山使って集光します。陸前高田市で使ったボイラーは16枚の鏡を使っています。16倍の光を集めることで、水を温めることが出来るのです。
太陽のエネルギーは膨大です。250km角程度の面積の太陽熱を集めれば、全人類の現在の発電電力量18TWを、化石燃料も、核燃料も一切使わずに発電出来ます。これは、既存の技術だけで達成可能です。
●従来の太陽熱装置との違い
私の装置の材料は誰でも買えて、誰でも作れます。鋼管と木材と鏡、鏡が無ければアルミホイルでも可能です。例えば、市販されているソーラークッカーは、太陽が動くので逐一角度を変えるなど、太陽を追いかける必要があります。コンピュータで計算しながら追いかけるなど、ハイテクで大変コストもかかります。
「太陽を追いかける」という発想では、トラッキング技術と費用が必要です。その発想ではコストとメンテナンスの費用が膨大となります。「追いかける」から「待ち伏せる」への発想の転換が必要です。私は初歩的な天文学の知識を使って、太陽を待ち伏せる発想で装置を作っています。
太陽エネルギーによる水温の上昇は、簡単にエクセルなどの表計算ソフトでシミュレーションしています。集まる太陽光の量、輻射、風による放熱、表面熱伝達、鏡の反射率など、モデルでは様々なものを考慮できます。この装置でどれくらいの時間をかければお湯になるか、様々な条件を変更してシミュレーションができます。
●太陽熱ボイラーを作ったきっかけ
私が携わった天文学の装置を恩師に見せたことがあるのですが、論文にしていなかったことを叱られました。「経験を後世に伝えるべき、責任を果たしていない」との、お叱りでした。これをきっかけに、後輩を中心に勉強会を立ち上げました。それが、「テクノスカフェ」という技術者仲間の勉強会です。勉強会でとりあげたテーマは、例えば一昨日は、「ユーボートにより日本にもたらされた新技術」の話など、様々です。その中で、今の日本に無い技術が沢山出てきました。がんの治療器の新開発などに繋がったものもあります。
その「テクノスカフェ」で、アフリカから帰ってきたメンバーの一人が、太陽でお湯を沸かしたいと言い出しました。アフリカのある地域では子供の半分以上が5歳までに亡くなってしまうらしいのです。それは飲み水が不衛生なのが原因で、殺菌した飲み水さえあれば多くの子供が助かります。殺菌した飲み水を作りたいという思いを持ち帰ってきたのです。天文分野の仕事経験がある私からすると、太陽熱は邪魔物で、「水の沸騰は簡単に出来る」と、すぐに当たりが付きました。
ただ、アフリカで作れることが条件でした。現地の材料、つまり、ノコギリと金槌でつくるようなローテクなものが求められているわけです。完成した装置は、バングラデシュやネパールなどから問い合わせがあるなど、「現地で作れる」太陽熱ボイラーの話が世界に広がっていこうとしています。
●陸前高田市での活動ときっかけ
そのような活動を行なっているとき、震災がありました。数ヶ月経ってからですが、被災地では、とにかくお風呂に入りたいという要望があったようです。
神戸環境大学という勉強会で、私が太陽熱ボイラーの話をした場に、復興支援活動を行なっていた松下政経塾の石井氏が参加していました。彼の要請で太陽熱ボイラーの簡易版を作って、陸前高田市に持って行きました。それがテレビで取り上げられるなど、反響があったわけです。
●太陽熱ボイラーの展望
この太陽熱ボイラーに3つの展望を持っています。 1つ目は、素人でも自作出来る装置としてのものです。アフリカを含めて、世界中で、現地の人たちが自作出来るものとして活かしていきたい。2つ目は、温浴施設や、室内暖房施設などの大量のお湯が必要なところで燃料費の節減に使って貰えれば良い。そのために、ワンプレスで完成するような物を作って供給したい。3つ目は、核燃料や化石燃料を使わない発電施設としての活用です。地球に十分な太陽エネルギーは届いているからです。このための技術は、既存のもので十分可能です。私の資金力では、到底無理なので、産業資本や、公共資本の取組を待つしかありません。
また、燃料の値上がり傾向が著しい農業ビニールハウスの熱源として使えないかなど考えています。貧しい人には貧しい人のための技術があるはずです。量産型のボイラーは、材料だけなら30万円位で作れます。風呂用のものは陸前高田市で作ったものを改善し開発中です。

電気は、半分は熱利用で消費されます。太陽熱は温めた水をそのまま使えば良いという意味で非常に高効率です。太陽光と蓄電池を利用する場合は、費用が一桁高くなります。人類史的視野でみれば、核燃料も、化石燃料も、枯渇はすでに秒読みの段階です。太陽熱エネルギーは、10億年程度は安定供給が期待できます。人類の、将来のために、太陽熱エネルギーの活用を考えるべきだと思っています。
ディスカッション/15:30〜16:00
コーディネータ:佐々木陽一(株式会社PHP研究所主任研究員)
以下の論点が議論されました。
●藤沢市などスマートシティと越谷レイクタウンの違いは?
・レイクタウンは基盤整備が終わってしまっている。今後は電化製品など生活レベルで省エネに対応することになる。藤沢市などは基盤整備から考えることが出来るが、どうなるか。太陽光を利用するためには、半永久的に太陽光を確保する必要がある。日照の問題が付いてくるが、レイクタウンは元々が区画整理事業ということで、半永久的に近隣に影のかからない場所にパネルを配置することができた。
●レイクタウンはなぜ太陽光でなく太陽熱か?
・家庭の利用電力のうち半分は熱利用であること、太陽熱パネルは熱効率がよく、エネルギー変換率が良いことが採用の理由。太陽光パネルだと3〜4倍のコストとなるだろう。
●民間の力と自治体のまちづくりの関係は?
・PFIは何をリスクとして取り、何をリターンとして得るのかがはっきりしないので、リスクが取りづらい。
●太陽熱ボイラーの展開については?
・民間の直接支援ということで感銘を受けた。バングラデシュで連携を行なう可能性を探りたい。
●住宅の太陽熱利用については?
・今回の事例では、集合住宅は太陽熱を使っているが、戸建住宅には使っていない。これは、都内の戸建は、屋根面積が少ないのでパネルを設置する面積がまず少ない状態だからだ。また、戸建はエネルギーの自給自足を狙って開発を行なっていて、太陽熱より電気は、メンテナンスの手間がかからないこともある。太陽熱普及には、共通のメンテナンスを行なう企業が必要であろう。
3.クロージング/16:00〜16:20
「エコスクエアで生まれた新結合の進捗状況と展望」(株)みずほ銀行
PHPエコスクエア協力企業の(株)みずほ銀行担当者より、以下のような報告がありました。
●第2回報告について
・特殊塗料は、テーマパーク関係で量産が進む可能性がある。
・第2回報告の農業の6次産業化の事例は、群馬県で進展している。宅配弁当・カット野菜、孤食パックなどになっている。パートナー企業が増え、現在、耕作放棄地を探して、大規模農場を狙っている。自治体の方には耕作放棄地を紹介して欲しい。ある農法で作った農産物を海外まで展開していく。
・第2回報告の戸建住宅の地中熱利用システムは、北関東地域で活用されている。東北の復興に活用できないか探っているところだ。
●第3回報告について
・第3回報告の「情報杭」は復興アーカイブに予算が付き、大船渡市で実際に杭を打っている。気仙地区などで活用される。
●第4回報告について
・第4回の地域医療の情報化の事例は、姉妹都市で医療情報をミラーリングするなど進展がある。
こちらは12月開催の「PHP地域医療勉強会」で更に議論が進む。
概要まとめ・文責:PHP総研
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