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内閣府推計にみる東日本大震災の被害

政治経済研究センター
研究員:金坂成通

 3月11日に発生した東日本大震災は甚大な被害をもたらしました。3月23日に内閣府が発表した「東北地方太平洋沖地震のマクロ経済的影響の分析」では被害額は16〜25兆円に上ると推計されました。そこで、その16〜25兆円の被害の内訳について見てみましょう。

 「16〜25兆円の被害」とした内閣府の推計は、大きく分けて二つの影響を分析しています。一つがストック(社会資本・住宅・民間企業設備)への被害である「直接的被害」と、もう一つがフロー(GDP)への影響である「間接的被害及びストックの再建」です。

 16〜25兆円という被害額は、前者のストックへの直接的被害に関する推計結果です。これは、被災地域の既存ストックが、金額ベースでどの程度毀損したのか計算したものです。

 内閣府の推計では、被災地を北海道から千葉県までの7道県としています。そのうち、岩手県、宮城県、福島県において市町村単位で「津波被災地域」と「非津波被災地域」を区別し、全ての建物・施設などのうち、どの程度被害があったかを示す「損壊率」を阪神淡路大震災における損壊率を参考に設定しています。例えば、岩手、宮城、福島の津波被災地域の建築物は損壊率80%と設定されました。被災地域全域における毀損額の推計結果は、基本となる「ケース1」で16兆円、津波被害を特に大きく見積もった「ケース2」で25兆円です。被災地域全域のストック総額は約175兆円なので、金額ベースで「ケース1」では約9%、「ケース2」では約14%のストックが毀損したことになります。

 次にストックの内訳を見てみましょう。推計では、ストックを住宅、民間企業設備等の「建築物」、「電気・ガス・水道」、道路、港湾、空港等の「社会インフラ」、都市公園等の「その他」の4つに分類しています。

 「電気・ガス・水道」や「社会インフラ」、「その他」については、その公共的な役割のため公的資金をもとに再建が進められるべきです。一方で「建築物」の多くは私有財産です。これに対してどこまで国や自治体が支援するかが、今回の大震災復興では問われます。

 現行では被災世帯の住宅再建支援は、阪神大震災をきっかけに1998年5月に成立し、その後拡充された「被災者生活再建支援法」に基づいて、世帯に対し最大300万円の支援金が支給されます。今回の震災による被災家屋数は未だ不明ですが、数十万世帯規模に達する可能性があり、必要となる財源規模がどの程度になるかまだわかりません。

 ここまでみた直接的被害のほかにも、フロー面では、被災地における生産の減少やサプライチェーンを通じた全国的な生産減少があることが示されていますが、電力制約の影響についての具体的な数値は算出できていません。

 今後は、被害規模をより正確に算定することと同時に、国がいかなる財政スキームで復興を支援していくのかについて早急に方向付ける必要があります。

(2011年4月4日掲載。*無断転載禁止)
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