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人口推計から見る日本の課題

政治経済研究センター
研究員:宮下量久

 有史以来、日本は人口増加傾向にあったが、人口減少という歴史的転換期を迎えつつある。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2060年の日本の人口は現在から2/3程度の規模に縮小し、8674万人になる。

 人口減少には混雑緩和などのメリットがあるものの、日本の将来は決して楽観できるものではない。50年後の年齢別人口構成を見ると、現在の社会保障制度は持続不可能である。15〜64歳の生産年齢人口割合が現在の64%から51%に落ちこむ一方で、65歳以上人口割合が23%から40%に増加する。つまり、高齢者に対する勤労者割合は1/3に減少するため、社会保障の財政基盤は極めて脆弱になるのである。現在は勤労者3人で高齢者1人を支えているが、50年後には勤労者1人で高齢者1人を支えねばならなくなる。

 今回の人口推計の中位仮定、すなわち、これまでのトレンドに一番近いケースでは、平均寿命が男性84歳、女性91歳とされ、男女とも5歳ほど延びている。また、国連は2100年までの人口推計で、日本人女性の平均寿命を96歳に設定している。いずれにしても、22世紀の日本は、国民が一世紀ほどの人生を謳歌する長寿大国になる。健康な年配者が増えるならば、現役労働者として働きたい人も多くなるだろう。財政基盤を強化するため、退職年齢の見直しや年金受給開始年齢の引き上げといった、勤労者を増やす取り組みは必要不可欠になると思われる。

 また、少子化対策も財政の持続可能性を高める上で重要だが、現状では十分に機能しているとはいえない。認可保育所の待機児童数は約2.5万人にのぼり、働きたい親は希望する保育施設に子どもを預けられない。このような子育て環境の不備は、出生数増加の阻害要因であるばかりか、本来納税できるはずの潜在的労働者から自由に働く機会を奪っていることになる。政府は定員割れの幼稚園を保育施設として利用できるよう、幼保一体型施設として総合子ども園を2015年に創設する。親は従来の幼稚園に子どもを長時間預けられる保育園として利用できることになる。しかし、幼稚園は総合子ども園への移行を強制されないため、総合子ども園がどれくらい設置されるかは未知数である。今のままでは、総合子ども園を待機児童の受け皿として期待するのは難しいだろう。

 もっとも、日本の生産年齢人口がすべて日本人である必要はない。人口推計では、長期滞在する外国人も日本の人口として含まれている。年間約7万人の外国人入国者の多くは20歳前半の若者である。政府はTPPの参加に向けて各国と協議をはじめた。ヒト・モノ・カネはこれまで以上に各国を行き交うことになる。また、日本を除くアジア諸国の人口は21世紀中頃までに約10億人も増加するといわれる。日本への外国人入国者の増加は、社会的問題を発生させる可能性もあるが、生産年齢人口の確保に貢献すると思われる。

 人口推計の結果は、現状維持を行った日本の未来の姿である。政府には、将来予測がよい意味で修正される取り組みを期待したい。

(2012年2月13日掲載。*無断転載禁止)

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政治経済研究センター
主任研究員:宮下量久

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