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HOME外交・安全保障 政策研究・政策提言「先進的安定化勢力・日本」のグランド・ストラテジー


外交・安全保障 政策研究・政策提言

「先進的安定化勢力・日本」のグランド・ストラテジー
−「先進国/新興国複合体」における日本の生き方−
2011年06月

 政策シンクタンクPHP総研では、2008年より「日本のグランド・ストラテジー」研究会を立ち上げ、長期的な視点に立つ日本の新しいグランド・ストラテジーを構想すべく、外 部専門家からのヒアリングや討議を重ねてまいりました。このたび研究会の成果を、提言報告書『「先進的安定化勢力・日本」のグランド・ストラテジー−「先進国/新興国複合 体」における日本の生き方−』にまとめ、発表いたしました。

 本提言報告書は、「提言篇」と「分析篇」から構成されています。「分析篇」は「提A言篇」の大前提となる、日本という国家の歴史的な位置づけや今後20−30年での国際情勢認 識を提示しています。「分析篇」では、まず国家のライフサイクルという概念を提示し、日本がその下降局面にあり、「一からの戦略」を構想・実行することで、新しい上昇期を 開始できるか、このまま衰退するのかの分岐点にあると論じました。続いて、現下の国際社会の大変動の本質を、「加速したグローバル化が、半世紀以上にわたって持続してきた 国際的なガバナンスや国内/国際連関の制度を動揺/変容させていること」「新興国の台頭が150−200年という超長期のスパンでの力の移行をもたらしつつあること」「加速した グローバル化が、「弱い国家」や非国家主体を顕在化させていること」の三点から分析しました。こうした大変動の結果、大型の新興国が台頭し、産業革命以降の欧米中心の国際 政治が岐路に立っており、「先進国/新興国複合体」とも言うべきシステムがグローバルに生起しつつある、というのがわれわれの状況認識です。「提言篇」では、以上の分析を 前提として、日本が国家としての新たなライフサイクルを開始するために、「先進国/新興国複合体」の中でどのようにふるまっていくべきか、大局的な観点から国内外にわたる 総合的な戦略構想を提示しています。

 わが国が震災からの復興を最優先せざるを得ない中でも、あるいはそれゆえにこそなおさら、「世界の中の日本」としての大局観を失わないことが必要ではないかと思われます 。本提言報告書をきっかけに、日本のグランド・ストラテジーについての議論が活性化できればと願っております。

〔NEW〕
※本提言報告書に続き、PHP「日本のグランド・ストラテジー」研究会の成果を書籍に取りまとめ、『日本の大戦略』(PHP研究所)として刊行いたしました。
>>『日本の大戦略』の詳細はこちら   >>書籍のご購入はこちら(Amazonサイト)


【PHP「日本のグランドストラテジー」研究会委員】

〔座長〕  山本 吉宣 /PHP総研研究顧問・東京大学名誉教授
   納家 政嗣 /青山学院大学教授
   井上 寿一 /学習院大学教授
   神谷 万丈 /防衛大学校教授
   金子 将史 /PHP総研主席研究員兼国際戦略研究センター長





【提言報告書】

【提言報告書概要】

提言報告書の内容は上記PDFでご覧いただけます。
提言書(A4版、ページ数約70ページ)をご希望の方は、1部・実費¥1,000(税・送料込)を切手にて申し受けます。下記までご連絡下さい。


お問い合わせ
<目次>
はじめに
提言篇 「先進的安定化勢力・日本」のグランド・ストラテジー
1.戦略目標の再設定
2.三つのアプローチ
I. 歴史的大変動に立ち向かう覚悟をきめる
1.内向き志向、現状維持志向を克服する
2.「先進的安定化勢力・日本」――国家アイデンティティを再構築する
II. 「先進国/新興国複合体」のもとでの日本の対外構想を確立する
1.主要国コンサート(大国間協調)の形成を目指し、その中で存在感を発揮する
2.グローバルな課題において、結果を出す貢献をする
3.勃興するアジアと深く交わり、その不安定要因を抑制する

III. 複層的な課題に対応できる、実効性の高い安全保障政策を展開する
1.安定化勢力という自己認識に基づいて、安全保障政策を再構築する
2.自国防衛/危機管理の能力を強化する
3.日米同盟の相互防衛的性格を強め、同盟協力を総合化する
4.グローバル・コモンズの安定化をはかる
5.「新しい安全保障」に選択的、効果的に関与する
6.同盟外の安全保障協力を推進する
IV. 先進的な経済社会システムを構築する
1.「先進国/新興国複合体」における新しい「繁栄のかたち」を確立する
2.福祉国家の再定義と知識創造の促進により、国民の力、社会の力を回復する
V. 新しい「統治のかたち」をつくる
1.安定した政権基盤を確立する
2.官邸における外交・安全保障戦略の司令塔を創出する
3.戦略形成の前提となるインテリジェンス機能を強化する
4.対外的な情報発信を刷新する
5.政治不信を克服し、有権者のオーナーシップ意識を高める
分析篇 交差する日本と国際社会の新段階
第1章 グランド・ストラテジーと国家のライフサイクル
第2章 「大変動」の本質
第3章 21世紀主権国家システムの展望
1.先進国/新興国(ポスト・モダン/モダン)複合体の生成
2.アジア太平洋地域―日本をとりまく地域

結語
メンバー略歴


国際安全保障学会 第1回定例研究会

 6月25日、青山学院大学で開催された国際安全保障学会の第一回定例研究会において、提言研究報告を行いました。
 定例研究会発足を記念し、同学会とPHP総研の合同セッションとして行ったものです。
 研究会メンバーの発表と西原正国際安全保障学会会長からのコメントに続き、会場との活発な質疑応答がありました。
 研究者に加えて、政策コミュニティやメディア関係者からも多くの参加を得て、盛会のうちに終了いたしました。

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有識者からのコメント(到着順:以後も順次掲載予定)

渡邉昭夫氏(東京大学名誉教授)
・発表の時期と言い、内容と言い、大震災以後(というより、ここ数年来)の我が国の「政策的空白」を埋める第1歩となるだけの衝撃力を持つ文章だと言って過言ではない。

・対外政策から経済、国内政治にまたがる広範且つ根本的な国家「改造」の呼びかけとなっている。

・日本国家のライフサイクルという時間軸、先進國/新興國の相互依存関係からなる複合システムという空間軸、そのなかでの日本の「コンサート外交」の提唱というのが議論の 骨格となっている。

・明治と戦後の2度の上向きのライフサイクルの背景にあった国際システムそのものの上昇局面を今回の震災後の日本の復興にも期待できると考えて良いのか?また何よりも、国 家改造の推進力(driving force)を何処に見出せるのか?この二大疑問が残る。


中西 寛氏(京都大学大学院教授)
 現代の国際政治の状況を「先進国/新興国複合体」と捉え、その中で日本は自らを大国間コンサートを形成しつつ、先進的安定化勢力として位置づけるべきであるという提言の 基本的方向は妥当であり、賛成である。また、提言を支える分析についても、国家の「ライフサイクル」仮説や、パワー・トランジションないし覇権交代論を応用した現状分析な ど、興味深い視点を提供しており、メンバーの努力に敬意を表したい。
 ただ、個別的な提言についてはいささか平凡で、具体性を欠くように感じる。日米同盟を基軸にすることに異論はないにせよ、大国間コンサートの形成にとって同盟の意義はど のように位置づけられ、また日本の役割はどう変化するのか、既存の議論を超えた議論が期待される。対中政策も関与とヘッジングの組み合わせは常識的だが、たとえば中国の海 洋戦略にどう対応するのか具体論が欲しい。日本がライフサイクルの下降期にあると捉えながら、衰退を回避する戦略として挙げられるのが「福祉国家の再創造」、「世界トップ レベルの知の拠点」、「多様化と国民統合」では一般論すぎよう。
 最後に、国際政治の現状について大国間関係を中心とした観点は重要であるにせよ、グローバリゼーションのもたらすガバナンスの限界についてより注意が払われても然るべき であったように思う。テロやウィキリークス,サイバーテロのような事例を考えても、「社会の反乱」が今日の国際政治の直面する主要課題の一つであるように思われ、今後の国 際秩序と日本の対応が言及されてもよかったと考える。


兼原信克氏(在韓国日本大使館公使、『戦略外交原論』著者)
 素晴らしい戦略論ですね。この視野の広さでかかれたものとしては、初めてではないでしょうか。この提言が、広く読まれることを期待しています。
 このような提言が、日本言論界を刺激してくれることを祈ってやみません。
 私は、特に、冒頭で、日本のアイデンティティの再構成を正面から提案されているところに感心しました。先進国・新興国の新しいバランスがもたらすであろう大きな変動期を 、「先進的安定勢力」として責任感をもって生きていこうという姿勢は、私もまったく同感するものです。それは、中曽根総理が提唱された「西側の一員」の延長上にあり、冷戦 後は、対中露関与政策の主体となる先進民主主義勢力と同義だと思います。日本は、「敗戦国、傍観者」から、「責任ある大国」へと脱皮することが必要だと思います。
 国民の安全と幸福という国益を最優先にした外交が必要だと思います。
 これからも、新しい日本のヴィジョンを打ち出されますように。
ソウルにて
 ※以上の見解は著者個人のものであって著者の所属する組織の見解を代表するものではない。


大森義夫氏(元内閣情報調査室長)
 東日本大震災でやや茫然自失の折から時宜に適った出版と思います。
 いまの日本に必要なのは、なんといっても経済の機関車役(韓国のサムソンのような)であり、高等教育(大学)の独走(独創)性だと思います。
 自衛隊と安全保障についての論考は妥当だと思いますが、サイバー・セキュリティの深刻さと各国同様、自衛隊の持つ専門性・組織性の活用が強調されてよいと思います。
 官邸機能強化は新しい課題ではありませんが、今回の放射能対策でも露呈したごとく、官邸には専門スタッフ、権限、日頃の(電力との)人間関係 いずれもありません。
 大統領制の米国との単純比較は危険ですが、官邸の司令塔機能をいうのなら採用から人事ローテーションをふくむ官僚制度の抜本的な見直しが必要です。
 そして、すべては「統治のかたち」の根本: 政治リーダーの育成がカギだと思います。
 本書を座右に置いて 災後の日本を見てゆきたいと考えます。
 好著を有難うございました。


岩間陽子氏(政策研究大学院大学教授)
 日本を代表する国際政治学者による現状分析と提言であり、非常に的確な分析を元に、中庸を得た提言となっている。今後10年、20年というスパンで考えたとき、日本人の誰も が最大の課題と考えるのは、中国の台頭とそれへの対処だろう。短絡的な結論は、「勝ち馬に乗る」(中国に寝返る)、もしくは「相手を威嚇する」(自らの重武装 and/or アメ リカの更なる東アジアへのコミットメントを求める)のどちらかということになるだろう。これは、近代化以来日本人が抱えている、「アジアか欧米か」というアイデンティティ のジレンマとある程度重なっている。
 これに対する本報告書の答えは、「どっちも少しずつ」「時と場合に応じて柔軟に」ということである。はなはだ歯切れが悪いが、本報告書のいうような「先進的安定化勢力と しての日本」、「コンサート外交の中の大国」という目標を追求するためには、日本国民も政治家も、これまで以上に知的成熟を求められる。短絡的で威勢のいい答えの中には、 しばしば大きな危険が潜んでいることを認識し、創造は破壊の何十倍も難しいことを意識して、大変動期へと突入していく世界の「先進国/新興国複合体」形成にかかわらねばな らない。
 本報告書は、現在の日本を明治維新、第二次大戦の敗戦と並ぶ大変動期ととらえ、「国家アイデンティティの再構築」を訴えている。この点に関して、若干の疑問を感じる。確 かに東日本大震災は、戦後日本が経験した未曾有の災害であり、破壊の規模は大きい。しかし、明治維新、終戦と比較すると、日本の統治システムはほとんど手付かずのままであ る。震災からの復興が、同時に新しい日本の創生になるためには、大胆な破壊のための設計図も必要であり、それが示されていない。
 もう一つは、「国民」の問題に触れていないことである。明治維新も敗戦も、それぞれ誰が日本国民であるのかということの大幅な修正を伴った。グローバル化は、モノ・カネ ・情報に加えて、ヒトの大きな移動を伴う。現在の日本が抱えている矛盾の中には、モノの移動を無条件に認めながら、ヒトの移動に関するルールを変えず、終戦以後の「国民」 観念を固守しようとしていることに起因するものが、少なからずある。もちろんヒトの移動のルールを変えれば、必ず新たな問題は生ずる。だが、それはすべての変化に共通する ことであり、それを恐れて変化を拒めば、衰退へとつながるだけである。ここでも問題は二者択一ではない。リーマン・ショックで市場万能主義神話がぶち壊されたことの帰結は 、国際経済にも及ぶはずだ。自由貿易万能主義、グローバリゼーション万能主義は答えではない。ヒト・モノ・カネ・情報のすべてにおいて、日本がなりたい将来像のために、必要なものを選択的に選び取る知恵と戦略が必要だ。





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研究員ブログ


「北海道経営ビジョン」を地元紙が紹介
荒田英知(2012年5月15日 13:00)


米国国防省の新しいインテリジェンス組織
金子将史(2012年4月27日 14:00)

時事コラム

景気動向から見る総選挙のタイミング

政治経済研究センター
主任研究員:宮下量久

 社会保障と税の一体改革関連法案が衆議院で審議入りした。消費増税反対を唱える与党内からの声もあり、本法案審議の難航が予想される。野田総理は法案成立に向けて「政治生命をかける」と発言し、国会審議の行方次第では衆議院解散・総選挙も辞さない構えを見せている。総選挙は本当に行われるのだろうか。景気動向からそのタイミングを考えてみたい。